診療のご案内

黄斑外来

黄斑外来とは

網膜疾患に対する診断・治療を行う専門外来です。2013年からメディカルレチナ外来の名称を改め黄斑外来となりました。私たちは、網膜の疾患の診断と治療を専門としています。その中でも黄斑の疾患が多いため、黄斑外来という名称となっていますが、黄斑以外の網膜の疾患を幅広く診ています。

対象疾患および診療内容

網膜とは外の景色を映し出すいわばスクリーンです。黄斑部とはそのスクリーンの中心部分のことです。黄斑部の機能が低下してしまうと外界の視覚情報の中心が欠損してしまいます。黄斑部の機能が低下してしまう病気には、加齢黄斑変性症や黄斑円孔、網膜静脈閉塞症、中心性漿液性網脈絡膜症など様々な疾患があります。(下記に黄斑疾患それぞれについての説明があります)
また、黄斑疾患以外に私たちは網膜の画像診断を駆使した網膜や脈絡膜の腫瘍の診断にも力を入れています。当科にはぶどう膜炎の専門外来のチームがあり、悪性リンパ腫の治療に尽力していますが、網膜チームは、より精度の高い診断の助けとなる画像診断について力を入れています。ぶどう膜炎と網膜のそれぞれの専門チームがある本学ならではの高度の診断、治療となっていると思います。その他には、網膜や脈絡膜の血管腫や過誤腫などの良性腫瘍についても豊富な経験に基づいた的確な診断、治療を行っていますのでご安心ください。
以下に疾患頻度の高い加齢黄斑変性症、網膜静脈閉塞症、中心性網脈絡膜症について概説します。
加齢黄斑変性症

加齢により、黄斑に障害が起こり歪視、中心暗点、色覚異常が起こる疾患です。50歳以上の1%にみられ、高齢になるほど多くみられ、先進諸国の中高年者の失明原因の首位を占めます。日本でも高齢化、生活の欧米化により増加しています。
異常な血管(脈絡膜新生血管)が、脈絡膜から生じ、網膜の方向へ侵入してきて網膜を障害します。異常血管は、血液成分の漏出により網膜浮腫や網膜下液を生じさせたり、出血を起こすことにより網膜を障害し、視力低下をきたします。

網膜には網膜から全身に血流を戻す網膜静脈が張り巡らされています。いろいろな原因で網膜静脈が途絶えると、網膜静脈閉塞症という疾患になります。網膜静脈の根元が閉塞した場合は網膜中心静脈閉塞症となり、静脈の分枝が閉塞すると網膜静脈分枝閉塞症となります。 静脈の閉塞した網膜には出血が起こります。黄斑部分の虚血や、浮腫が起こる事により視力低下や歪みの自覚症状がでます。

中心性漿液性脈絡網膜症
黄斑部分やそのほかの部分に漿液性の網膜剥離を生じる疾患です。原因は、脈絡膜(網膜の下の血管の豊富な組織)の血流のうっ滞といわれています。30代から50代の男性に多く、ストレスや、妊娠、ステロイド剤などが疾患の発症に関わっていると考えられています。視力が大きく下がることは稀ですが、歪み、物の大きさが小さく見える、色のコントラストがつきにくくなるなどの症状で受診されることが多いです。

治療

疾患についての診断、病期の判断がついた時点で、治療を開始します。
治療内容は、疾患によりますが、レーザー治療、光線力学療法、抗VEGF抗体療法の3つが治療の柱となっています。
疾患により、これらのうちのどれかを単独または、組み合わせで治療していきます。治療はどれも日帰りで施行し、入院の必要はありません。
私たちの対象としている疾患のほとんどが、薬やレーザーで一時的には抑えることができますが、再発や再燃がとても多い疾患ばかりです。よって、定期的な受診をしていただき、必要な時に、必要な分の治療を繰り返し受けていただく必要があります。私たちは、毎回注意深い検査と診察を行い、再発や再燃がないか診て、それらのあった場合には、視力を維持していくための最善の治療をその都度選択していきます。
レーザー療法
レーザーを網膜に照射する治療です。レーザーの照射した網膜は、変性しますので、黄斑にはレーザー治療はできません。黄斑から離れた新生血管や、網膜静脈閉塞症、黄斑から離れた部分に漏出点のある中心性網脈絡膜症、良性腫瘍などで使用します。
光線力学療法
ビスダインという光感受性のある薬剤を静脈投与し、正常組織を傷めない程度の弱いレーザーを病変に当てます。この薬剤は新生血管に集積するので、その部分にだけレーザーの効果が及びます。光感受性物質を全身的に投与しますので、5日間から1週間は紫外線を避け、ご自宅で療養していただきます。

抗VEGF(vascular endothelial growth factor)療法
VEGFとは血管内皮増殖因子という化学物質で、新生血管の増殖や活性化に関わるものです。また、この物質は血管の透過性を高めるため、静脈閉塞などでうっ滞した血液成分が血管から漏れてくるのを助ける働きがあります。この化学物質を捉え、その働きを抑制する薬が抗VEGF抗体であり、ルセンティス、アイリーア、マクジェンといったものを現在使用しています。それぞれに特性があり、患者さんの全身状態や、目の状態に合わせ、選択します。これらの薬は、点眼や内服では投与できないため、硝子体注射といって白目のところから細い針を刺して目の中に直接投与します。消毒した後に、点眼麻酔をして行います。

おわりに

黄斑外来は、グループ診療制であり、主治医制ではありません。電子カルテで、診療内容や画像を共有し、またカンファレンスを行い症例検討を毎週行うことにより、グループの医師全員で患者さんの診療情報を共有し診療方針を決定しております。グループ診療のため、はじめは毎回診る医師が違うことに戸惑われる患者さんもいらっしゃいますが、私たちは、グループで診ることにより、見落としなく、また最善の治療の選択をしていっていると考えております。また、専門外来の特性上、通常の外来に比べ重症の患者さんが多くいらっしゃり、その検査、診察、説明などに時間がかかることが多くあります。そのために待ち時間が長くなって、ご迷惑をおかけすることがあります。私たちのチームは、より待ち時間を短くするよう努めておりますが、医療の安全性が最も優先されるべきことと考え丁寧な診療を行っております。その点においてご理解、ご協力をいただけると大変助かります。