診療のご案内

サージカル網膜外来

網膜硝子体手術部門のご紹介

東京医科歯科大学眼科学教室では、目の病気の改善と治癒を目指した手術治療を行なっています。かつては、眼の奥にある硝子体という透明な組織に血が混ざってしまう硝子体出血や、神経の膜である網膜が裂けてしまう裂孔原性網膜剥離といった病気に対する手術治療は失明と隣り合わせの治療でした。しかし、近年は手術器具の進歩と、眼の奥を照らす照明の改善があり、手術の危険度は下がり、手術後の見え方の質Quality of Visionにも応えられるようになりました。私たちの施設では、最新の手術機械と、手術用顕微鏡を揃えており、最善の治療を提供いたします。

サージカル網膜外来には、お近くの眼科医院からの紹介状を持って、平日午前中に受診いただき、担当医より予約を取得させていただきます。「眼の手術を受けるべきなのか、わからなくて、迷っている。」というご意向での受診も可能です(※)。精密な検査にて病状を評価して、説明をさせていただき、ベストな診療を選択していただけるようにサポートいたします。特に以下の疾患の診療を重点的に行なっておりますので、どうぞ受診をご検討ください。
(※セカンドオピニオンについては、病院内の専門窓口にて受付)

 

治療前に取り入れている最先端の検査技術とは

1)マルチモーダルイメージングによる病変の評価

通常の健康診断で用いられている眼底写真とは、一般に使われているカメラと同様に瞳孔と焦点を調整して眼底の神経や血管の写真をとる検査です。眼科医院ではそれに加えて、光干渉断層計(以下OCT)という機器により眼底網膜の断層写真を撮り、診療に活用されています。当院ではさらに専門的な機器を用いて、網膜の下で網膜を栄養する機能を持つ色素上皮細胞の機能評価ができる自発蛍光眼底写真撮影や、血管内の赤血球の動きを検知して網膜の血液の流れを評価できる光干渉断層計血管撮影といった検査を活用し、病状を詳しく評価するようにしています。

2)最新の広角OCTを用いた異常病変のスクリーニングと眼球形状解析

さらに最新の機器として通常のOCTよりも撮影範囲を5倍程度に拡張した広角OCTを治療前検査に使います(図1)。人が物を見るときに、使用する網膜の9割以上が中心部分です。広角OCTではその範囲の網膜を全て含んだ断層画像を精密に撮影することができます。サージカル網膜外来では広角OCTと広角眼底カラー写真を組み合わせて治療を受ける網膜の異常をスクリーニングすることができます。ただ疾患を治すだけでなく、他に心配な異常がないかも合わせて確認させていただきます。
また広角OCTの合成処理機能を使って、眼球後部の3D画像を作成し、形状評価を行なっています。これは、当院の先端近視センターに通院されている方、眼球が大きく伸展した方、後部ぶどう腫という眼の壁の歪みがある方の眼球形状を解析するのに極めて有用な検査です。事前に眼球の形状を確認し、安全に手術ができるように準備をすることができます。

3)微小感度視野計によるミリ単位での視機能評価

物を見るときに目の奥の網膜のどの部分がどのように機能しているのか、網膜の病気になってしまった時には網膜のどの部分がどのように機能を落としているのか、といった外見だけでは分からない機能を微小感度視野計は評価をすることができます。網膜の細胞は神経細胞であり、弱りきってしまった細胞が、手術で回復する場合も、難しい場合もあります。サージカル網膜外来では、網膜の中心部分の局所感度を治療前に検査して、機能回復の予測に活用しています。

 

サージカル網膜外来の網膜硝子体手術

1)極小切開硝子体手術

網膜の手術では、目の白目の部分である強膜に数カ所の小さな孔を作って、微細な器具を眼球の内部に挿入して手術を行います。器具の出し入れの際に、内部の網膜に傷ができてしまうのが大きな問題であり、網膜剥離の原因になっていました。その後の器具の進歩により、より微細な手術器具が登場し、傷口は0.7mm程度になりました。さらに2010年頃には世界に先駆けて、日本の眼科医によって極小の傷口でできる手術器具が開発され、傷口は0.5mm以下になっています。サージカル網膜外来では最小の傷口による手術を取り入れています(図2)。ペン先よりも細い傷口での手術では、術後の炎症も軽微で、傷跡が目立つことなく、喜ばれています。

2)3Dディスプレイを用いたヘッドアップ手術

網膜の手術は眼科の手術の中でも最も細かい手術の一つとされており、手術では手術顕微鏡が欠かせません。手術中は目の内部の網膜を照明で照らすことが必要ですが、長時間の光に晒されてしまうことは目の中の組織にとって、大きなストレスになります。サージカル網膜外来では最新の顕微鏡によるヘッドアップ手術を行なっています(図2)。高感度の3Dモニタを使うことで、手術中に目の中を照らす光の量を半分以下で行うことができるようになりました。目に優しい光の量で行う手術では、手術後の眼の回復が早いことが期待できます。

3)顕微鏡内蔵光干渉断層計によるリアルタイムイメージング

網膜の病気では目の中の血を取り除いたり、網膜の表面に付着した異常な膜を剥がしたりします。執刀する眼科医は経験などを元に手術を行いますが、「溜まった血の奥に何があるのか?」、「剥がした膜の下はどうなっているのか?」、悩むことが少なくありません。最新の顕微鏡には光干渉断層計が内蔵されており、手術中にリアルタイムで断層画像を見ることができます(図2)。この画像情報を元に、どの程度の処置を行うべきか、安全で十分な手術のための判断を行うことができます。米国で行われたディスカバー試験という大規模試験では90%以上の手術で断層情報が有用であったという結果があります。サージカル網膜外来では、本技術を活用した手術を行なっています。