眼球は腫瘍が生じることが少ない臓器です。そのため眼底腫瘍を経験することは日常まれであり、診断に苦慮することも少なくありません。しかしながら、眼底腫瘍は悪性の場合には生命予後に影響するのはもちろんのこと、良性腫瘍であっても失明を来すことがあり、迅速かつ的確な診断、治療技術が必須です。
しかし本学の眼科では、「直接観察することができる」という眼底腫瘍の最大のメリットを生かし、特に得意としている、最先端のswept-source光干渉断層計や眼底自発蛍光を用いた画像診断技術を駆使して、眼底腫瘍の診断、治療に大いに貢献しています。これらの診断、治療の成果は海外の一流誌に掲載されています(RETINA, Jpn J Ophthalmol, Int Ophthalmol)
特に経験が豊富で実績が優れているのは、1) 眼内リンパ腫, 2) 転移性脈絡膜腫瘍、3) 網膜の良性腫瘍(網膜血管腫、網膜過誤腫など)、4) 脈絡膜の良性腫瘍(脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫など)です。上記疾患の診療に際しては、内科、外科、放射線科、遺伝子診療外来との密な連携に基づき一人一人の患者さんにベストな治療を提案します。
代表症例
脈絡膜血管腫
治療前:黄斑浮腫と漿液性網膜剥離による視力低下があった。
↓ 網膜光凝固術
治療後:黄斑浮腫と漿液性網膜剥離がひき、活動性が抑えられている。
転移性脈絡膜腫瘍
治療前
↓ 化学療法
治療後:腫瘍は平坦化して滲出も減少している。
血管増殖性腫瘍
悪性リンパ腫
文献リスト
- Fukuda T, Shimada N, Ishida T, Furuse Y, Tobita H, Ohno-Matsui K. Bilateral circumscribed choroidal hemangioma with retinal and choroidal venous abnormalities. Jpn J Ophthalmol. 55: 688-90, 2011.
- Ishida T, Ohno-Matsui K, Kaneko Y, Tobita H, Shimada N, Takase H, Mochizuki M. Fundus autofluorescence patterns in eyes with primary intraocular lymphoma. RETINA. 30: 23-32, 2010.
- Ishida T, Ohno-Matsui K, Kaneko Y, Tobita H, Hayashi K, Shimada N, Mochizuki M. Autofluorescence of metastatic choroidal tumor. Int Ophthalmol. 29: 309-313, 2009.