2014年5月から、元東京大学准教授、しらと眼科副院長であり、緑内障研究治療の第一人者である相原一先生を特任教授にお迎えし、緑内障外来を開始いたしました。
緑内障とは?
緑内障とは視神経が眼圧の影響が原因で損傷し、視野に不可逆的な障害が出る疾患です。疫学調査によれば、我が国における緑内障の有病率は中高年以上の約20人に1人がこの病気に罹患しているといわれています。今後さらに増加傾向にあると考えられ注意が必要とされています。日本では糖尿病網膜症とならび、中途失明の主な原因として問題視されています。緑内障初期では自覚症状がほとんどなく、健康診断などで指摘を受けたり、他の疾患で眼科を受診した際に発見されることが多く、気づかないまま放置してしまう方もいます。進行は比較的ゆっくりですが治療せずにそのまま放置しておくと、重篤で不可逆的な視力障害をもたらすことがあります。
主に次の4つのタイプに分類されます。
発達緑内障
先天性の緑内障で、発達緑内障と言います。新生児や乳児の眼球は柔らかいため高眼圧によって膨張し、黒目が目立つ顔貌になり、牛眼と呼ばれます。強い視力障害が起こるため、早期に手術が必要となります。
閉塞隅角緑内障または急性緑内障
突然の眼痛と頭痛が出現し見えにくくなる症状を有します。一般に中年以降の女性に多いとされ、眼球の小さい遠視眼に起こりやすいといわれており、眼内を循環する房水の排出口(隅角)がふさがるために、眼圧が急激に高くなるのが原因です。放置すれば高度な視力障害に至ります。脳などの疾患と鑑別が必要な場合もあります。点眼や内服、レーザー手術などで治療を行います。
開放隅角緑内障または慢性緑内障
初期ではほとんど自覚症状がなく、ゆっくり進行する慢性の緑内障。眼圧の高さにより原発開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障に分けられます。一見隅角は開いて見えていますが、原発開放隅角緑内障はその先のシュレム管などが目詰まりを起こしてしまうために眼圧が上昇し視神経が損傷されます。正常眼圧緑内障は眼圧が正常範囲にも関わらず、視神経が損傷を受けてしまうタイプの緑内障です。自覚症状がほとんどないために放置されるケースが多く日本人ではもっとも多くみられる緑内障です。これらのタイプでは自覚症状が出る頃には進行が顕著になってしまっていることが多いため注意が必要となります。点眼の治療が基本となりますが、さらに眼圧を下げる必要がある場合にはレーザー治療や手術が必要となります。
開続発性緑内障
ブドウ膜炎や全身性の病気、ステロイドなどの薬剤、外傷などにより生じる二次的な緑内障です。原因疾患の治療とともに、病状に応じた緑内障治療が必要となります。
緑内障の検査について
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眼圧検査
正常眼圧は10~21mmHg程度とされています。
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眼底検査
緑内障に伴う視神経乳頭や網膜の変化を観察します。これに加え、OCTなどの最新の画像診断装置を用いて診断に役立てています。
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視野検査
視野が正常かどうかを検査します。ハンフリー視野計やゴールドマン視野計などがあります。
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隅角検査
隅角鏡を用いて房水の出口を観察します。
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その他
視野異常は脳内の疾患においても生じます。そのような疾患が疑われた場合には通常の検査以外にCTやMRI検査などを行います。
緑内障の治療について
薬物治療やレーザー治療のほか、眼圧コントロールが不良な症例に対し、線維柱帯切除術の他にtube shuntと呼ばれるインプラント手術等の新しい手術を症例に応じて行っています。